JPWA JAPAN TOUR'09のひとつ、アップウインドのアマチュア日本一を決める「第8回全日本アマチュアアップウインド選手権」が9月26、27日の2日間、神奈川県横須賀市津久井浜で開催されました。両日共に津久井レギュラーの北系の風が吹き続けるという予報の通りに風が吹き続け、計7レースが行われ、トップアマチュアの熾烈な戦いが繰り広げられました。
参加人数は20名と少々寂しい数ですが、中部や関西からの精鋭刺客を津久井をホームとするメンバーが迎え撃つ形で行われました。
アップウインドレースは、開催前に3枚のセイルと1本のボード、3枚のフィンを登録します。このときから既にレースは始まっており、「どのセイル(エリア)を登録する」かはすなわち、「2日間どのようなコンディションになるかを予測し、自分の力を発揮できる道具を登録する」こととなります。幸いにも、津久井浜は比較的コンディションが安定しているため、皆迷いなく手持ち最大セイルから3つ、12.0/11.0/10.0あるいは、11.0/10.0/9.0(実際に9.0は必要ない)の登録を行っていたようです。
以下、3位入賞した45-45中嶋選手のレースリポートです。
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アマチュアアップウィンド全日本は以前まで3月に開催されていたが、今年は日本のコンディションを加味して、この9月に開催された。これは、全国的に風の弱い日本の春の終わり〜夏にかけてでも、十分に練習ができるフォーミュラインドサーフィン(FW)の特性と、スラロームやウェイブの大会が増えてくる冬前に決戦の場をとの考えからだ(きっと)。
レジストレーション時に参加人数を見た瞬間、残念な思いがよぎる。20人。最盛期の何分の一だ? しかし、面子を見て気を引き締める。西は甲子園からイクイク(1919)生田、(元)ボンバーヘッド111松本ら4人、中部からは、実連のドンJ14藤田、元地元J76櫛笥、日本海からは北海の黒豹J51柵木、迎え撃つは鎌倉の寡黙な熱い男3大数加、そして地元津久井からは、MRCが誇るアマチュアアップウインドセイラーの面々。その中でも優勝候補筆頭はわがチームメイト45-10安斉である。 風は2日間とも十分吹く予報で、最大レース数は7レースと予定された。始まる前から予測されたとおり、レースは混戦を極めた。
■第1レース 北北東の風10〜14ノット
浜から見る海面は白波びんびんだが、本部船からの風速コールはそれほどでもない。みな、11.0を中心にセイルチョイスし出艇していった。緊張のファーストスタートから1上を取ったのは、今大会からFWレース初参戦の126長谷川。学生時代からイムコ、レースボードで鳴らした彼は、ここ数ヶ月一人黙々とFWに乗り込んできて、その実力に磨きをかけ、初のFW大会で1上トップという結果を生みだした。続くのは大ベテランJ14藤田、歳の差ダブルスコア(?)をものともせず、前を行く若造を追い立てる。
この勝負は、最終レグまで続き、最後に経験の差をだして、J14がトップフィニッシュし、オープニングレースを制した。2位は大健闘の126長谷川、3位に45-45中嶋、以下、3大数加、45-10安斉と続いた。
■第2レース 北東の風8〜10ノット
風は思ったよりも弱く感じ、セイルを11.8にチェンジして出艇。スタボースタート後、下振れし弱まっていく風をうまく避け、上目上目でよい風を捉え、1上ダントツは元ソウルオリンピック強化選手121三澤。その後も後続を寄せ付けず、第2レースを制した。2位以下は混戦。抜きつ抜かれつを繰り返しつつ、2位に1919生田、3位45-45中嶋、以下45-10安斉、126長谷川と続いた。思ったとおり、アップウィンド戦国時代。誰がトップを取るかわからない、混戦模様。ここまで、2つのレースは大ベテランがそれぞれ制したが、結果が安定しない。
中嶋 3-3/藤田 0.7-6/長谷川 2-5/生田 6-2/安斉 5-4 と、どんぐりの背比べ状態で次の戦いに挑む。
■第3レース 北東の風9〜11ノット
昼休憩時にはいったん落ちた風も、レース時にはしっかり吹き上がり、北よりのブローが強く入ってくる。多くの選手がポートスタートを狙う中、自分は下マーク脇から絶好のポートスタート。1上制するのは確実、と油断すると、またも長谷川、さらに32-2白藤がポートをよく走らせており、ファーストタックで二人にかぶされる。
さらにコースが長くなり上マーク付近でスタボーに強烈なヘダーが入るなど、より難しくなった海面を、うまくうまくつないでトップに躍り出たのは、優勝候補の45-10安斉。ここにきてエンジンかかってきた様子だ。2位には数年前までここ津久井浜をホームとしていたジプシー76櫛笥。3位に手堅く生田、以下32-2白藤、45-45中嶋と続いた。
■第4レース 北東の風7〜9ノット
落ちてきた風に、上マークを下げ短くなったコースを制するのは、スタート。しかし、ファーストタックのタイミングも非常に難しく、さらにはフリーで止まってしまうほどのブローホールができてきて、風をよく見て拾った者が勝つ展開。こうなった時に強いのは、寡黙な熱い男3大数加。1上を制した安斉(この男もこのコンディションに強い)をフリーで抜き去り、そのままトップフィニッシュ。優勝候補の一角、大数加が、ここへきて宣戦布告である。2位に安斉、3位に生田、以下77永井、111松本と続いた。松本は、前日からの移動中に車のトラブルにあい、チームメイトに助けられながら、遅れて津久井浜に到着し、この第4レースからの参戦となっていた。優勝候補の一角と見られてただけに残念だが、残りのレースでひと暴れを期待したいところだ。しかし、途中まで牽引してきたチームメイトですら、12時間の移動、その後車の修理をしてから駆けつけた松本は18時間ほどの移動時間をかけていたはずで、なかなか実力を発揮し切れなかったようだ……。
ここまでの初日暫定順位は
安斉 (5)-4-0.7-2:6.7
生田 (6)-2-3-3:8
中嶋 3-3-5-(7):11
大数加 4-7-(10)-0.7:11.7
長谷川 2-5-(6)-6:13
藤田 0.7-6-(8)-8:14.7
ここまで全レースでトップフィニッシュが入れ替わる混戦。さらに二日目も3レースは期待でき、7レース2カットとなると、さらに混戦が予測された。
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二日目
予想に反して、風は弱め。自分的にはもっとしっかり吹いて欲しいところだが……。
■第5レース 北東の風7〜9ノット
弱くなったら東よりのブロー、との自分の思いを信じ、上目からスタートすると、見る見るうちにリフトしていき、下の集団はどんどん落ちていっている。こんどこそトップフィニッシュを、と意気込むものの、ながーく打たれたコースがそんな甘さを打ち消す。残りの1/3のエリアでもうひとつレースが行えるくらい長いコース、そして激しい風の振れや強弱を処理しつつ、さらに長い距離の下りでは後ろから来るブローをうまく捕まえながら走る必要がある。
1上は三澤、白藤、生田らがトップ目で回航し、中嶋、大数加がそれを追う展開。安斉は下からのスタートで、ファーストタックで全員の下、はるかかなたに……、いるはずだったが、フリーの弱い風を奇跡のトレースで、1下までに上位陣に肉薄の3位回航。そして、2上で先行する三澤、生田を逆海面を使ってパスし、奇跡の18人?抜きを演じた安斉がトップフィニッシュ。2位に生田、3位に中嶋以下、白藤、三澤、大数加と続き、上位陣が安定する中、安斉が一歩抜きに出た格好になった。
■第6レース 北東の風8〜10ノット
昼前に一度スタートした第6レースは2上途中で風が落ちてキャンセルとなり、昼後に吹き上がった風で、仕切りなおしとなった。 スタート1分半前に猛烈に下に振れ、さらに左からブローが寄せる気配に一斉に選手が下に向かう。自分はタック、ラインまでの落ち具合を勘案し、スタート16秒前にタック、開いたラインから絶好のポートスタートを決めた。
このレース、終始トップ争いを演じたのは生田と中嶋。1下で生田が若干先行するものの、2上ポートの上りで上をキープした自分が2上を制し、フリーも相手をよく見てベストのライン取で初のトップフィニッシュ。生田は、フリーのジャイブで自分と勝負し早めのジャイブをしたことで下りきれなくなり、後続の長谷川に隙を突かれる結果となった。 このレース、1位中嶋、2位長谷川、3位生田?、以下松本、大数加、藤田と続き安斉の姿がない。聞けば、スタート直前にマストブレイクにより戦線離脱した様子だ。これにより、優勝争いは上位3名にぎゅぎゅっと絞られ、2カット目が入る最終レースの結果次第で逆転もありうる、誰もが気合の入るラストレースとなった。
安斉 5-4-0.7-2-0.7-(21):12.4
生田 (6)-2-3-3-2-3:13
中嶋 3-3-5-(7)-3-0.7:14.7
長谷川 2-5-6-6-(10)-2:21
大数加 4-7-(10)-0.7-6-5:22.7
■第7(最終)レース 北東の風8〜12ノット
いつもの津久井の風向・風の雰囲気となり、みなスタボーから左海面を目指す。スタート後の競り合いで、安斉に上からかぶせられ、下に振れて弱くなる風に、苦しくなってタックを返すも、ブローに置いていかれて走り出さず、1上はドツボの1?位。このレース1上は三澤、続いて安斉。生田も10番程度とツボっている。安斉がトップ争いをしていることで、優勝は手堅くなってきた(?)が、自分もあきらめてはいられない。一つ一つ着実に順位を上げるための走りを重ねていく。2上は安斉がトップで回航し、ほぼ優勝を確信したウィニングラン。2位争いは大数加と長谷川。その後ろに三澤、中嶋。それぞれに思いを込めた走りで、最後の最後のレグ、フィニッシュまで接戦を演じきり、このレースは1位安斉、2位大数加、3位長谷川、4位中嶋、5位白藤、6位三澤となった。生田は途中リグトラブルで戦線離脱したが、上位3人最終成績は変わらず。

優勝 45-10安斉
準優勝 1919生田
3位 45-45中嶋
4位 3大数加
5位 126長谷川
6位 121三澤
と、最後意地を見せた大数加が新人長谷川を退けて4位に浮上した。
アップウィンドレース
フォーミュラウインドサーフィンに限らず、レースボードも含めて、正直今は低迷期かもしれない。でも、今回つくづく感じた。アップウィンド:コースレースって面白い! 艇速だけでない、タック、ジャイブの技術だけでもない、風をみて、感じて、自分のコースを決めて、その良し悪しが一つ一つ積み重ねとなって自分の身に帰ってくるもちろん、艇速は一つの強力な武器であり、磨かなければいけない技術の一つだ。タックやジャイブやスタートも。でも、レースが始まるそのとき、その時点での実力は決まっている。レース中に急激にそれらが向上することはない。だが、レースは、とくにコースレースは、それ以外にも勝負の要素が有り余る。だから勝敗が面白くなる。
「運に左右されるからいやだ」という人がいる。もちろん、運もある。しかし、運だけではビリからトップにはなれない。前に行く確立の高い選択(引き出し)をどれだけもてて、実践できるか。それが運を引き寄せることにもなる。第5Rの安斉のように。 今回、道具トラブルに泣いた選手も多かった。しかし、トップ3選手もそれぞれ道具トラブルを引きずった。自分はたまたま陸上であったからロストレースはないが、代わりの道具での戦いを余儀なくされた。これらも、すべて運と片付けるか? 次の戦いに向けてやるべきこと、選手はそれぞれを見据えているはずだ。
今回、自分自身は正直残念な結果だと思っている。勝てなくて悔しい。でも、これだけ熱い戦いができたことを本当にうれしく思うし、あらためてアップウィンドレースの楽しさ、面白さを実感した。この戦いの場を提供してくれたJPWA、協力いただいた各社さま、二日間のベストコンディションとともにすばらしい運営采配をみせたスタッフの皆さんに深く感謝し、全国各地から集まった仲間にたちとともに、この競技の復活を願いつつ、自らできることを続けていこうと思う。
この長文をここまで読みきってくれた人と、一人でも多く次の大会で戦えること、(できれば自分の後ろでフィニッシュしてくれることも?)を祈りつつ、レポートを終える。
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